マンタとカン太

「入って!二時方向にマンタ!」
船長の声を合図に、一斉に海に入る。

泡ぶくで、周りは何も見えないが、
船長の指示通り、二時方向(右斜め前方)に向って、思いっきり泳ぎ出した。

泡がおさまり視界が開けると、

なんと!自分の真下に、巨大マンタ!!

全長四メートルは越えるだろう。私のお腹が、マンタの背中にくっついてしまうのではないかという程の至近距離だ。
私はマンタに触れないよう、手を後ろに組み、波を立てないよう、フィンは極力優しく蹴る。

真っ黒な背中は、なめらかな曲線を描き、横に広がる大きなヒレを悠々と動かし泳いでいる。
その姿は、どこまでも広がるスカイブルーの大海を、翼を広げてまるで羽ばたいているかのよう。

イルカと出会った時は、どこか幼なじみに会ったような、ウキウキとした感じがしたが、その時とは違う。
心拍数が落ち着き、呼吸も深くゆっくりとしてきて、自分の中の時が静かに流れはじめるのがわかった。

「私、ここにいてもいいのかな?もう少し、ここにいてもいい?」
心の中でマンタに聞いてみると、

「いいよ。ここにいなよ。」
そう応えてくれたような気がした。


*〜*〜*〜*〜*〜*


「一緒にいたい」
「こうしたいんだ」って思ったら、
自分から聞いてみるといいんだ。

遠慮したり、我慢したり、声かけられるの待ってるんじゃなくて、
こちらから、心を開く。

人とのコミュニケーションも
人以外の存在とのコミュニケーションも同じだね。

カン太、マンタとのコミュニケーションで学んだよ^^


by カン太